Written by Yoshioka Shunsuke

「今から帰る」、
からが長い。

「ごめん、やっと終わった!」
「今から帰る!」

そんなLINEが来てから、すでに1時間10分が経過している。
心配なんかしていないし、怒ったりもしていない。
ましてやこっちから「大丈夫?」なんて送ることもない。

もはや、「無」だ。
慣れというものは恐ろしい。

もちろん最初は心配したし、浮気を疑ったこともあった。
実は無職にでもなっているのではないかと、
給与明細をあさったこともある。
でも、もう、そんなことはしない。
こうしてテーブルに座って、テレビドラマを眺めたり、
Twitterのタイムラインを遡ったり、Yahoo!ニュースを漁ったり。
そんなことをしていれば、いつしか君が帰ってくる。

「ごめん、遅くなった!」

そして靴を脱ぐなり、悪びれもせず今日あったことを笑顔でまくし立ててくる。
どうせ今日も帰りがけにデザイナーと話が盛り上がったとか、そんなところだろう。
そして私は話半分にうなずきながら、料理をレンジで温める。

せっかくなら、温かいうちに食べて欲しい。
そんなことを思ったりしないでもない。
でもこうした緩やかな生活も、
私たちには似合っている気がしている。




サランサップ / 旭化成

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「今から帰る」、
からが長い。
席替えで
窓際になったら。
初恋のころ、
いっしょにいた
文房具。
愛を換気しましょう。
一生ものという、エコ。
人は、
ぬくもりのなかで、
悲しみたい。
イライラは、
水溶性。
無加工の夏。
おいしい、カイロ。